量詞と目的語の位置
2020/9/9
「中国語の量詞」にて、量詞をまとめてみたものの、ふと量詞と目的語の順序を疑問に。
物の数を数える場合は、数えるもの(目的語)の前です。では、回数(動量詞)や時間(時間量詞)の場合も、目的語の前なのでしょうか。
日本語の感覚では、「我看过中国电视剧三遍(中国ドラマを3回見たことがある)」でも「我看了中国电视剧一个小时(中国ドラマを1時間見た)」でも問題ないように見えます。しかし、いずれも正しくありません。
そこで、今回は量詞と目的語の位置関係をまとめてみました。
数(名量詞) | 回数(動量詞) | 時間(時間量詞) | |
---|---|---|---|
物 | 動詞+数+目的語 | 動詞+回数+目的語 | 動詞+時間+目的語 |
人 | 動詞+数+目的語 | 動詞+目的語+回数/ 動詞+回数+目的語 | 動詞+目的語+時間/ 動詞+時間(不定量)+目的語 |
場所 | 動詞+数+目的語 | 動詞+目的語+回数/ 動詞+回数+目的語 | 動詞+目的語+時間 |
代名詞 | - | 動詞+目的語+回数 | 動詞+目的語+時間 |
動詞+量詞+目的語?
中国語では、「数詞+(名)量詞+名詞」で人や物の数を、「動詞+数詞+(動)量詞」で回数を表します。
つまり物の数も回数も時間も「主語+動詞+数詞+量詞+目的語」の順になります。
そのため、例えばドラマの
数は「我看了两部中国电视剧」
回数は「我看过三遍中国电视剧」
時間は「我看了一个小时中国电视剧」
と表すことができます。
回数・時間であっても動詞の後・目的語の前に量詞を置く必要があり、「主語+動詞+回数/時間+目的語」です。
このとき、動詞の中でも動詞A+目的語Bの形をした「離合動詞AB」がは注意必要です。
離合動詞は既に目的語を含んでいるため、離合動詞の間に量詞が入ります。つまり「主語+動詞A+数詞+量詞+目的語B」です。
そのため、「昨天我睡觉了六个小时」ではなく、動詞の後・目的語の前に量詞を入れて
「昨天我睡了六个小时觉」
が正解です。
※離合動詞については「動詞・形容詞の重ね型」でも触れています。
他にも、時間や回数を表す文型として「目的語+主語+動詞+時間/回数」や「主語+動詞+目的語+動詞+時間/回数」も可能です。
つまり、
「中国电视剧我看过三遍」
「我看中国电视剧看过三遍」
とも言えます。このときも、アスペクト助詞「了」「过」は動詞と数詞+量詞の間に入ります。
目的語が人や場所の場合
先程までの例では、目的語が物でした。人や場所の場合、回数・時間は目的語の後ろに置くことができます。
目的語が人・場所の場合、回数は「主語+動詞+目的語+回数」でも「主語+動詞+回数+目的語」でも可能です。
例えば
「我见过小李一次/我见过一次小李(私は李さんに一度会ったことがある)」
「我去了美国三次/我去了三次美国(私はアメリカに3回行った)」
です。
一方、時間は「主語+動詞+目的語+時間」が一般的です。
例えば
「我等了小李半个小时(私は李さんを30分待った)」
「他去中国三年了(彼が中国に行って3年になる)」
です。
目的語が代名詞になると、回数も時間も「主語+動詞+目的語+回数/時間」となります。
例えば
「我等了他半个小时了(私は彼を30分待っている)」
です。
否定の場合
目的語が物の場合は「主語+動詞+回数/時間+目的語」、人や場所の場合は「主語+動詞+目的語+回数/時間」になることを確認しました。
では、否定形の場合はどうなるのか。
単純に否定の「没」を動詞の前に置いて「主語+没+動詞(过)+回数/時間+目的語」または「主語+没+動詞(过)+目的語+回数/時間」とはしません。
否定形では、動量詞(回数)や時間量詞(時間)を使わないのが一般的です。
もしも「一度も~ない」「一日も~ない」と否定したい場合は、「主語+一+量詞+都/也+没+動詞(过)+目的語」とします。
了が2つあるのは?
上の例文の「我等了小李半个小时」に対して「我等了他半个小时了」のように、動詞の後に加えて時間量詞の後にも「了」が置かれている場合があります。
この時間量詞の後の「了」は、状況が現在まで継続していることを示しています。
「我等了小李半个小时」は30分待ったけど今は待っていない、「我等了他半个小时了」は今も30分待っている点で意味が異なります。
他にも
「他去中国三年了(彼が中国に行って3年になる)」
「他们结了十年婚了/他们结婚十年了(彼らは結婚して10年になる)」
も、同じく現在までの継続を表す「了」を使用した例です。
この動作が終わってからの時間を表す場合、持続性のない動詞「去」「结婚」の後に「了」は付けません。
また、動量詞の後にも「了」を置くこともあります。例えば「那个电视剧我看了三遍了(あのドラマを3回見た)」など。
動量詞の後の「了」は動作が完了していることを示しています。
この「了」があることで、
「那个电视剧我看了三遍了,还想再看一遍(あのドラマを3回見たが、もう一度見たい)」
「美国我去了三次了,不想再去了(アメリカに3回行ったので、もう行きたくない)」
のように、その動作が完了した後のことを述べることができます。
まとめ
以上、回数・時間の量詞と目的語との位置関係と、量詞を使う上での注意点をまとめてみました。
基本的には動詞+量詞+目的語ですが、目的語の種類によって目的語と量詞の位置は変化します。さらに、量詞の後に「了」を置くことで文の意味も変化します。
うっかり間違いやすい語順ですが、慣れていかないと。。まだまだ勉強が必要です。