会と能と可以と
2020/9/12
中国語を習い始めた時に覚える「我不会说中文(私は中国語が話せません)」。この「会 hui4」は「~できる」の意味で使われる能願動詞です。
この他に「~できる」の意味で使われる能願動詞には「能 neng2」「可以 ke3yi3」があります。日本語では全て「~できる」ですが、中国語では全て同じように使えるわけではありません。
能願動詞の使い分け
中国語で「~できる」と言いたい場合、能願動詞「会」「能」「可以」を動詞の前に置きます。
このとき、「会」「能」「可以」の「~できる」にはそれぞれ違う意味が潜んでいます。また、否定形は単純に「不」を能願動詞の前に置くだけでは意味が変わってしまうこともあります。
そこで、この3つの能願動詞の使い分けと注意点をまとめてみました。
意味 | 例 | 否定 | 例 | |
---|---|---|---|---|
会 | できる(学習・練習) | 我会游泳 | 不会 | 我不会游泳 |
できる(生まれつき) | 人会使用工具 | 不会 | 狗不会使用工具 | |
はずだ(可能性) | 今天会下雨 | 不会 | 今天不会下雨 | |
能 | できる(能力) | 我能游一公里 | 可能補語※ | 我游不了一公里 |
できる(都合) | 明天我能去 | 可能補語※ | 明天我去不了 | |
できる(条件) | 日本能买到这本书 | 不能,可能補語 | 日本不能买到这本书 日本买不到这本书 |
|
できる(許可) | 你能进来 | 不能 | 你不能进来 | |
はずだ(可能性) | 这件事他能不知道 | 不能 | 这件事他不能不知道 | |
可以 | できる(条件) | 这辆汽车可以坐五个人 | 不能,不可以,可能補語 | 这辆汽车不可以座五个人 这辆汽车坐不下五个人 |
できる(許可) | 这儿可以抽烟 | 不能,不可以 | 这儿不可以抽烟 |
「会」の使い方
「会」の「~できる」は、学習・練習により習得してできることに使います。例えば言語、料理、運動、車の運転など。
ただし、習得したものでも、さらに一歩進んだ能力の場合は「能」を使用します。例えば、ただ泳げるだけでなく速さや距離の能力を表す場合は「会」ではなく「能」を使うことが一般的です。
否定する場合は「不会」です。
また、「会」には可能性を表す「~はずだ、~かもしれない」の使い方もあります。「他会帮助你」は「彼はあなたを助けることができる」ではなく、「彼はあなたを助けるはずだ」と可能性があることを意味します。
「能」の使い方
「能」の「~できる」には、能力・都合・条件・許可の意味があります。
最もイメージしやすいのが、能力があってできる「能」です。例えば、「这些菜你能吃完吗?(これらの料理を食べきれますか)」、「我能看懂这本书(私はこの本を読んで理解できる)」です。
都合が良くてできる「能」は、参加・出席・行く・来る場合に使用されます。例えば「你能来参加吗?(あなたは参加できますか)」など。
条件のもとでできる「能」は、場所・物の性能、を表す際によく使用されます。
さらに、この客観的な条件でできるにも似ていますが、「会」と同様に「~はずだ」という可能性の意味も持ちます。「还有时间,她能赶到(まだ時間がある、彼女は間に合うはずだ)」。
また、「~してもよい」と許可してできる場合も「能」を使用します。「这儿能不能抽烟?(ここで煙草を吸ってもいいですか)」といった疑問形でよく使用されます。
「能」の否定形では、注意が必要です。
「不能」は禁止(許可しない)の意味が強いため、能力・都合の否定には「可能補語」を使用するのが一般的です。
可能補語は「動詞+得+方向補語/結果補語/了/起」の形をとります。否定形は「動詞+不+方向補語/結果補語/了/起」です。
例えば「你能吃完」を否定形にする場合、単純に能願動詞の前に「不」を置いて「你不能吃完」にすると、「食べきってはいけない」の意味が強く感じられます。
ここで、可能補語を使用し「你吃不完」とすると、「食べきれない」の意味が伝わりやすくなります。
ちなみに、過去の「~できなかった」では可能補語の否定形が使えないことがあります。例えば「読んで理解できなかった」「来られなかった」と言いたい場合は、「没+動詞+結果補語」や「没+能+動詞」の形で「这本书我没看懂」「昨天我没能去」とします。
「可以」の使い方
「可以」の「~できる」には、条件・許可の意味があります。使い方は「能」の条件・許可と同様です。
否定形でも「不能」同様に「不可以」は禁止(許可しない)の意味が強いです。
そのため、条件の質問に否定で答える場合、「不可以」ではなく「不行」を使用するのが一般的なようです。許可の質問では「不可以」でも「不行」でも構いません。
来不了参加はNG
以上、「不能」「不可以」は禁止の意味が強いことがわかったのですが、能力や都合でできない場合にも「不能」を使用する場合があります。
動詞が2つ続く連動構造(去上课,来参加,坐电车去など)では、可能補語が使えません。
つまり、「我能来参加」を否定する場合、都合が悪くて参加できない場合も「我不能来参加」としか書けません。
もちろん肯定形の「我能来参加」を可能補語を使った「我来得了参加」にもできません。
まとめ
能願動詞「会」「能」「可以」の使い分けと注意点をまとめてみました。
日本では普段意識しない「~できる」の意味ですが、中国語では能願動詞の種類を間違えると違った意味に変わる可能性も。自然に使い分けられるようになりたいです。